現場リポートでは、現在進行中の工事の様子や進捗状況を随時更新しながらご案内しています。
無量光寺 庫裡新築工事に関する施主の信念・建物に対する熱意と我が社に対する期待と要望。
この建物は普通の古民家風の建物では有りません。
最初に施主である住職に紹介を受けた時、これはとんでもない現場に来たなと痛切に感じました。 何かと言々ますと、最初に見せられた書物は、次の様な本でした。
『民芸運動と建築』:日常の生活器具類などに美的価値を認めようと、柳宗悦・河井寛次郎・濱田庄司らによって大正末年・昭和初年に始められた運動で有るが、この三名に遅れて、加わって「民芸の建築」手本を示した、芹沢_介・富本憲吉・なども重要である。
又建築や歴史的景観への興味を共有した、式場隆三郎・吉田璋也という二人の医師、そして壽岳文章・棟方誌功・外村吉之助らも民芸にとどまらず、建築や歴史的景観への興味を共有した人々であった。
■ 代表的な建築物には、
濱田庄司郎邸:母屋=陶芸メッセ・益子内・上台(別邸)=益子参考資料館内
栃木県芳賀群益子町益子
式場隆三郎邸:(非公開) 千葉県市川市国府台
日本民藝館・長屋門・柳宗悦邸 東京都目黒区駒場
河井寛次郎記念館: 京都市東山区五条坂
壽岳文章邸 日向庵 附 松ヶ崎の住宅・旧岡本邦二郎邸 京都府日向市 (非公開)
上田恒次郎邸: 京都市左京区岩倉木野町 (非公開)
松乃鰻寮: 旧松野邸 京都市左京区岩倉木野町
他・などが有ります。
『保田與重郎のくらし』:京都・身余堂の四季 ・上田恒次郎が設計・監理を行い、
施工は木曽久治郎、大工頭は牧野金次郎が担当した。
この様な書物を見せられ、御住職の今回の庫裡に対する思いが伝わって来ました。
それから、無量光窯と工房を案内され、大きな薪の窯1基・重油の窯1基・電気窯1基
が有り、そこらかしこに壺・絵皿・器など沢山無造作に置かれて有りました。
竣工予定日:2011.9.30
延床面積:264.17u
間取り:7LDK+UT
設計:中島工務店設計室
今日は雨でしたが見学会は予定通り行われました。雨の中お越しいただき頂き本当にありがとうございました。
協力をしてくださった無量光寺様にとても感謝しております。
10月2日(日)にも見学会があります。
みなさま、ありがとうございました。
来週末、無量光寺で見学会が行われます。それに向けて無量光寺庫裏新築工事も大詰めとなっています。囲炉裏などもついて見どころいっぱいです。いつもは全体の写真を写すのですが、今日は接近して撮ってみました。近くで見ると面白い形をしているものがたくさんあります。現場で見つけてみてください。
囲炉裏。
板戸に入っている障子。
外に池があります。
障子。
レンガの壁に埋め込まれた陶板。鳩です。
階段の手すり。
壁。
陶板置き台。イメージは鳩。
皿置き台。ノミで削った跡が残っています。
階段の手すり。
これはクリートと呼ばれるヨットなどでロープを留め付ける物です。今回は囲炉裏の上に吊ってある火棚と言うものを吊る為に、近所の木型屋さんに作って頂きました。
クリート結び。御住職様の知り合いに来て頂いて結んで頂きました。
囲炉裏の部屋です。柿渋とベンガラが塗ってあるので古く見えますが、すべて新材です。
皿置き台も作りました。
ぜひ見に来てください。
本日は、指定確認検査機関による完了検査がありました。平井・鳴海両現場監督、南保設計室長と、わたくし今井が立合いました。
薪ストーブも設置完了。 ストーブの背面に貼ってある耐火レンガにも柿渋が塗られ、何ともいえない味わい。
朱い大黒柱や梁、濃茶に塗られた柱、壁(珪藻土)の白、木の素地。コントラストが美しく、思わずため息。
階段の手摺の陰影も、とても素敵です。(階下では、照明器具の打合せ中)
是正もなく、完了検査は無事に終了。
打合せ中だった照明器具が取り付けられ、他のどこにもない「民藝の建築」が完成するのが本当に楽しみです。
明石は今日も晴れです。日陰にいても汗だくになるくらい暑いのに、現場の駐車場に咲いているひまわりは太陽に向かって元気に咲いています。
現場は外部の格子も付いて、外壁漆喰塗りももう少しで完了です。
建具工事もほぼ終わりました。玄関の建具も付いてまた感じが変わりました。
建具もベンガラと柿渋塗装です。またも平井現場監督の出番です。最近は忙しいようでなかなかこの現場に顔を出せないようですが、なんとか来て頂きました。柿渋塗りは平井さんに逆らえません。言うとおりにしないと怒られます。
今回の建具は民芸建築の特徴を出した物となっています。
たとえばこの障子。組子が少し変わっています。組子の材料も普通の物より少し太くなっています。
板戸は真ん中に障子が入っています。この組子のデザインもこだわっています。
和室と広縁です。広縁からは庭が見えます。障子には柿渋だけが塗ってあります。
和室へと向かう廊下です。暗いのがいいです。板戸の障子からの光がきれいです。
2階廊下。格子の影。
ある窓から外を見たところ。
7月12日、ついに階段箪笥(たんす)が完成。箱階段とも呼ばれて、名前の通り、階段の下のスペースを使って収納になっています。現場に搬入後、戸棚と引き出しを取り付ける前に色を塗ります。
『柿渋職人平井現場監督』←(お寺のみなさまからこう呼ばれている)がまず柿渋を原液のまま塗っていきます。
平井さんの言うとおりにみんなで塗ります。無垢の杉材に柿渋を塗ると、白太の部分にほんのりと赤い色が付いて、全体的にやさしい色合いになります。
その後、建具屋さんが金具を取り付けます。古い金具なので、鏡板の表側から突っ込んだ金具の取付部を裏側で折り曲げて留め付けます。
引き手金具は2種類取付ました。
どちらも銅製です。
一つは横長の蛭手金具。引き手部分の曲りがきれいです。神戸の古材屋で見つけたものです。古い金具がまた生かされます。
もう一つの丸い金具は、 鐶(かん)と呼ばれるようです。京都市内の家具屋通りと呼ばれる、夷川通りの金物屋さんで見つけてきた金具です。新品ですが、作られたのはだいぶ前で、一つ一つ 手作り。
金物屋のおじいさんが言うにはめったにないとの事。
そして金具取付完了。
この後 御住職様のチェックです。
そして完成。この箪笥階段は両面が収納になっています。
リビング側から。
玄関側から見ると
早速ものが入っています。
柿渋職人も満足そうです:)
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